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執筆者の写真小沢良平

なぜ内申点が受験に

『受験には内申点が大事』

よく言われることであり、学校の先生からも聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。「部活に入っておくと…」「委員会や生徒会が…」「授業態度が…」様々な噂や嘘があります。ここでは私見を述べさせていただきます。


①噂と真実

受験に関わる内申点で最重要なものは、単純に9科目5段階のいわゆる『成績』です。私立高校の推薦では数値が足りなければ出願すらできませんし、都立高校の受検では出願はできますが、低ければ大幅に不利になります。成績をしっかり勝ち取ることは重要です。しかし、部活の実績、生徒会活動などは関係ないことが多いです。あくまでも『多い』なので、関わる場合もあります。スポーツ推薦には部活の実績が必須ですし、生徒会会長だと私立高校の推薦で内申点に+1ポイントなどあったりもします。しかし、『内申点のために生徒会会長をやる』というのは割に合いません。その時間を技能科目の勉強にまわして、成績を1ポイントでも上げた方が受験に有利に働きます。部活、委員会、生徒会などは『やりたいからやる』が正解です。良い経験になりますし、成長できるでしょう。


②内申点を受験に必要とする表向きの理由

内申点が受験に関わらなかったらどうなるでしょう。音楽が嫌いな生徒は歌わなくなるでしょうし、運動が嫌いな生徒は体育をサボると思います。『ケガをさせたくない』『うちの子には必要ない』という理由で、体育や技術家庭の授業に子どもを参加させない親も増えるでしょう。(今の状況でもいます)

つまり、『学校の授業を真面目に受けさせるため』『先生(大人、目上の人)の言うことを聞くように教育するため』『嫌いなこと、苦手なことでも努力する精神を養うため』というのが一般的な理由になると思います。実際に、提出物を期日までにしっかり出すことは社会人になるまでにやらせておきたいトレーニングです。また、苦手だから挑戦すらせずやらない、という逃げや諦めをさせないためにも良いと思います。


私個人の意見としては、内申点を受験で点数化する必要はあると考えています。『勉強だけできる子ども』になってほしくないからです。できないことや苦手なことでも試行錯誤しながらできるだけ頑張ってみる、という経験は重要ですし、苦手なことから全て逃げてきたような人が大人になると……良くはなさそうですね。もちろん『苦手はやらない』という信念で成功している人もいます。が、確率的に低いです。昔の様に『根性だ!』というものではありません。何かに立ち向かって頑張るから『苦手』というものを認識できます。頑張っている人ほどわかるはずです。(一部天才を除きます。)苦手を克服するとかではなく、自分は何が苦手で、なぜ苦手なのか、どうすれば少しでも前向きに頑張れるのか、反対に何が得意なのか、それをどう活用するか、など思考することと経験を得てほしいと思っています。


③言えない理由

教育委員会では内申点に関する取材を断っているようです。答えられないようなことが多いからでしょう。『転校したら成績が上がった』というケースが実在するほど、地域や学校、科目によって差が大きいです。25%以上の生徒に5を与える学校もあれば、5%以下の学校もあります。行く中学校によって、子どもの高校進学の可能性が変わるということが現実に問題としてあります。

理由は簡単。『富裕層、権力者の子どもを優遇するため』です。そういう地域、そういう生徒が通う学校の成績は甘いです。(個人的な意見です。)私立高校の推薦は内申点だけで決まる高校が多いです。面接や作文は課されますが形式上のものなので、データを見ると合格率100%という高校が多くあります。成績の数字さえあれば実力がなくても合格できます。大学付属校であれば、サボらなければ大学まで行けます。都立高校受検だと、推薦でも面接や作文があり、一般入試だと筆記試験がありますが、内申点が高ければ相当に有利に勝負ができます。


これが取材お断りの現理由だと思います。塾講師を20年以上やっていますが、そんな理不尽なこと多々見てきました。子どもの成長と将来を考えると、情報と戦い方を知っておくということが必須です。内申点は『先生がつけるもの』ではなく、『生徒が勝ち取りにいくもの』です。

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