「このクラスはセルフハンディキャッピングを禁止するからね。文句がある人は挙手。…よし、誰もいないな。じゃあ禁止で。」
私が大手塾で働いていた時に、上位クラスの初回授業で言うセリフです。生徒は賛成したわけではなく、分からないから手を挙げませんでした。その後、内容と理由を説明すると大いに納得し、みんなで「あっ、それセルフハンディキャッピングだ!」と指摘しあうようになり、生徒たちの中で流行語になりました。ちなみに、「分からないことを禁止されそうなのに、手を挙げず意見を言わないっていうのは危険じゃない?分からないときは、正直に分からないということを言えるようになろう。」という話もしました。
セルフハンディキャッピングとは、固い言い方をすると『自分の失敗は外的要因、成功は内的要因であるように言動を選択すること』の様になります。獲得的と主張的がありますが、簡単に言うと、勉強せずにマンガを読んでいて「マンガを読んでたから点数が悪かった」と言う、テスト前に「あ~、勉強してないから点数悪いだろうな~」と言うなど、自分の行動と心に保険をかけるようなことをいいます。反対に成功した時には「勉強してないのに良い点とれた!」の様に、成功をより大きいものとして扱います。失敗したくない、失敗を認めたくない、競争する・比較されるのが嫌い、というタイプの人に多いと思われます。これが成長の妨げになります。
もちろん、失敗したときに『マンガ読んじゃったから』の様な原因を考えることは必要です。「言い訳をするな!」というセリフを聞くこともありますが、私はどんどん言い訳をしてほしいと思っています。それは失敗の原因を分かっているということだからです。その言い訳の内容を繰り返さなければ成長できます。言い訳も出ないようであれば、何も反省がない、改善する気がないのと同じことです。できない、分からないのは恥ずかしくありません。できないままにする、分からないままにすることが恥ずかしいことです。
さて、2学期中間試験の反省点は覚えていますか?それを改善しなければ良い結果は出ませんし、たまたま良い結果が出たとしても成長ではなく慢心になるだけです。セルフハンディキャッピングは中高生の内にしないようにしておきたいものです。大人が仕事で「あ~、プレゼンの練習してないから失敗するかもな~。」とか言っていたらどうでしょう。格好悪いとかではなく、クビですよね。失敗を受け止め、原因を突き止め、改善できる人間になっていきましょう。
Comments